8月8日、兵庫県立美術館で開催中の表記展覧会を見た。
つい数年前、我々が経験した20世紀末の100年前、19世紀末から20世紀の初頭にかけて活躍したウィーン分離派の画家、特にそのリーダー的人物であったグスタフ・クリムトの作品を中心とした展覧会である。
クリムトの作品は、「接吻」や「抱擁」等男女の愛を象徴的に表現した作品が有名だが、上の展覧会図録の表紙を飾っている「フリッツァ・リートラーの肖像」等、モジリアニが描いた女性の顔とは対極をなす下あごの張った数々の女性の肖像画でも有名である。
そしてもうひとつの著名な作品が、1902年の「分離派展」に出品されM.クリンガー作の「べートーベン像」に合わせて「第九番」をモチーフに描いた壁画「ベートーベン・フリーズ」である。更に、エピソードがあって、その展覧会の開幕の日、展示場でマーラー自身が管楽合奏用に編曲したベートーベンの「第九」を自ら指揮して演奏したのだ。
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今回の展覧会には、精巧な実物大模写が展示されていたが、会場には1902年の展覧会の際のマーラー編曲の第9番が流されていた。BGM付きの近代絵画の展示と言うのは、他に記憶がない初めての体験だった。その作品の部屋に入った時は、2楽章の途中で、勿論4楽章までその部屋にいて合唱の時は、コの字型に描かれた壁画の最後の部分「楽園の天使達の合唱」に見入った。
更に驚かされる別添下段の2作品を見た。
粛然とした公立の美術館の展示場で、公然と「自慰に耽(ふけ)り陶然とする」女性の素描を見せられると、オジサンは、目のやり場に困ってしまい、帰宅してから展覧会図録をそっと開いて見たのでした。
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