発 行:ひょうすぼ社
発行人:佐藤理洋
e-mail:
riyoyoko@hotmail.com
創刊:昭和60年(1985年)6月15日

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乱杭167号(2003年10月21日)

◆ホワイト・シークリッド・パロット◆

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 今年7月から表題の熱帯魚を飼っていることは、乱杭No.164に書いた。

 行きつけの床屋さんが大切に飼育されていて、そのお店の水槽で繁殖した稚魚をいただいてきたものだ。

 その稚魚が見る間に大きくなって、水槽の中で、それぞれ満遍なく反目していたものが、その中の1匹の腹部がオレンジ色に、また腹びれや背びれが光の具合でエメラルドグリーンやコバルトブルーに輝き出し、ある日突然、しなをつくって最も大きい固体にすりより出して、彼らは結婚したようだった。

 床屋さんによれば、前者が雌、後者が雄である由。

 それ以来、その2匹は、彼らの側に他の固体を一切近づけないよう、2匹で連携して決然と他の固体を攻撃し出して、中には尾びれがボロボロにされた者まで出てきたので、市販のアクリル製の仕切り板でその2匹と他の固体を隔てた。

 そして、10月10日、隠れ場用に水槽に入れてある蛸壺の底が抜けたような陶器の内側に卵が産み付けられていた。メスは片時も卵のそばを離れずその卵を守り、時には1センチほどの距離に近づいて卵の様子を覗き込み、始終胸鰭を大きく動かして新鮮な水を卵に当てているようだった。(↓)

 そんな様子を写真に撮ろうとカメラの対物レンズを水槽の壁面に近づけると、鰓(えら)を大きく張って側面のガラスに近づき、カメラに向かって威嚇するようになった。(↓)






 10月19日、前記の底抜け蛸壺を覗いたら、卵が元にあった場所に1個もない。

 あれ、とその蛸壺を覗き込んだら、写真上段のように整然と並んでいたものが、手前の方に、グジャグジャに移動しており、虫眼鏡を使ってよく見ると、球形の卵の形が、なにやら崩れているようだった。

 翌日も虫眼鏡でその様子を見ると、ポツ・ポツとそれぞれに2個の目玉が確認され、翌20日には、卵黄を腹部に付けて、尾びれを必死で動かす小さい稚魚の姿が確認された。

 今日21日には、その稚魚のうちの幾つかが、水槽の循環ろ過装置の水流で押し流されて数センチ流されると、件(くだん)の雌がその離れた子をパックっと咥(くわ)えて、他の稚魚の塊(かたまり)の中に、フッと吐き出すのが観察された。(↓)

 中学校の頃にお世話になった先生の講演会に参加するため、18日(土曜)の夕方、宮崎から来た長女と一緒にやって来た来年小学1年生になる孫が、土曜の夜と日曜の午前中、延々と水槽を眺めている私を見て「オジイチャンは、魚が好きじゃっちゃねー」と感心していた。

 孫に「感心されるようになった」ら、人生はお仕舞い、ではないだろうか・・・

 ・明日(10月22日)は、私の51回目の誕生日である。ある人からそそのかされて、明日を期して、何十回目かの禁煙に挑戦することになっているのだが、気が重い。

 きっと「人生お仕舞いのオジイチャン」は、禁煙を貫徹出来ないような気がする。されど、なんとか貫徹して生き延び、その孫がお嫁さんに行く姿を見たい衝動にも駆られる。

 こうして人は、生きていくのでしょうか。愚にもつかない50歳最後の日の感慨です。

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