発 行:ひょうすぼ社
発行人:佐藤理洋
e-mail:
riyoyoko@hotmail.com
創刊:昭和60年(1985年)6月15日

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青草(佐藤理洋)の身勝手「野鳥歳時記」(16)(2003年5月18日)

◆幻の雉鍋◆

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 昨日は、早朝に行縢神社で、今年初めてサンコウチョウの声を聴いた。

 庭の元砂場にビニールを敷いて作ったメダカ池では、今朝20匹余りの稚魚が孵化していて、親に食べられないよう、隣に置いてある大型の鉢に網ですくって移し替えた。
 初旬に孵化した第1陣に続く第2陣の誕生だ。第1陣は、生まれた時の3〜4倍の大きさになっている。

 夕方、以前の職場に併設されていた物産展示場に勤めていらしたYさんから電話があった。
 Yさんはとても動物好きで、当時は自宅にタヌキを飼っていらして、小学生だった長男と見せて貰いに伺ったことがあった。

 電話の内容はこうだ。

Yさん 「土地を借りて畑つくりをすることにしたのネ。
 それで今日その土地の草を草刈り機で切っていたら、巣にしゃがんでいたキジを誤って切り殺してしまったの。
 なんだか、すぐにも孵化しそうな卵があったので、持ち帰ってアンカで暖めていたら孵り出したのよ。キジの雛って何をあげたらいいの?」

  「あの人(と私は呼ぶことにしている。)達は、ミミズとかオケラとか、土の中の生き物を食べているので、そんなもんでしょうか???」

Yさん 「そうよね・・・、虫とかよね・・・。」

  「養鶏場とかでは、雛に何を与えているか、聞いて見られては如何でしょう。」














Yさん 「そうね・・・、そうしてみるワ。」

  「ところで、死んだキジの親鳥は、やはり羽をムシッて雉鍋とかに・・・」

Yさん 「お墓を作って埋めてあげました。」

私  「・・・・・」

 

 草刈り機の音がドンドン近づいて来る中、死んだ親鳥は、とことんこの子達を隠しとおして守ろうと決心して、草刈り機の刃から卵を守ったのだろうか。

 私が彼女であれば、50センチメートルくらいの所まで来た刃音を聞いて、逃げ出したに違いない。

 野生とは、侮れない。同じ生物の親として、恥ずかしい。

 添付の写真は、F・伊藤さんのホームぺージ「鳥と林道」からお借りしました。

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