私の職場は、延岡市役所の本館西側にある旧延岡市立図書館跡の建物にある。南側が総ガラス張りで、その前は市職員駐車場、更に南には、旧延岡藩(内藤家七万石)の居城があった城山公園がある。人口12万5千人、東九州有数の化学工業都市と市民誰もが自負する街の中心の中心にある。
その城山公園は、外から見れば、緑濃い小山であるが、中を歩けば、一の丸から三の丸まで、園内道路や広場があって、森や林の形態で言えば「疎林」と呼ぶ方が正しいだろう。
コゲラやシジュウカラ、カワラヒワ、ドバト、ヒヨドリ、カラス類などがここで営巣していると思われるが、その他に見かける野鳥達は、渡りの途中に猛禽類に終われた際の避難所や雨宿り、休息所、一晩の宿などとして、城山を一時的に利用しているものと思われる。
今週の月曜日(6月9日)のお昼前、机で書類を作成していたら「ヒッー、フィー、ツキー・ヒー・ホシー、ホイ・ホイ・ホイ」とサンコウチョウ
(下掲写真参照※)が、一回だけ鳴いた。
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「オーッ、サンコウチョウが鳴いた!」と少し大きな声で呟くと、職場の人々が「また、始まった・・・」と言った風情で私の方にちらりと目線を投げてきた。そのような視線を感じつつ、次の鳴き声を待ったが、それきりだった。
サンコウチョウの声や姿を市内で楽しもうと思えば、幾ら延岡市が田舎とは言え、郊外の行縢山(ムカバキヤマ)麓の自然林や、百歩譲っても、市街地と南部の住宅地を隔てる愛宕山北陵の愛宕神社付近の自然林の中でないとその声を聞くことが出来ないというのが、私のこれまでの常識であった。
そんな中、翌日(10日)の昼過ぎに、また1回だけサンコウチョウが城山で鳴いた。
うーん、なんと解すべきや?その日、気象台が「南九州地方は、梅雨に入ったと思われる。」と発表したように、当地は、横殴りのかなり激しい降雨で、先に書いた「渡り途中の雨宿り」かなと思った。
今日(11日)午後2時頃、また城山公園の北端のこんもりと木々が茂った辺りからサンコウチョウの声が聴かれた。今日は、もう1回美声を聞かせてくれた。これで、3日連続です。ひょっとしたら、このまま、このサンコウチョウは、城山に居付くのではないか、と期待が膨らんできて、この野鳥歳時記で皆さんに報告することにした。
それにしても、同公園は周囲を官庁街やマンションなどの住宅、歓楽街に囲まれた中心市街地の1ヘクタール足らずの城址を活かした都市公園である。姫路城、熊本城、岡山城などとは規模的に比肩も出来ない小規模な城アトである。
この職場に3年いるが、これまで一度もなかった経験であるし、もしも、ここにサンコウチョウが営巣したとしたら、何か変と思わざるを得ない。明日も鳴いたら、双眼鏡を持ってそっと見に行って見よう。
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