青草(佐藤理洋)の身勝手「野鳥歳時記」(25)(2003年8月20日)
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◆ソウシチョウ◆
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昨日、昨年から実行している「まだ行ったことのない九州、走破作戦」の続きで、阿蘇山東側の外輪山を一周した。ルートは、高千穂町から国道325号で一旦外輪山の内側、熊本県高森町へ行き、そこから国道265号で北上、同県一の宮町で国道57号に出て、同県波野村から県道41号(高森波野線)、県道8号(竹田五ヶ瀬線)を経て高千穂町河内で最初の国道325号に戻った。
国道265号から見る阿蘇根子岳・同高岳は、日頃、南阿蘇の白水村辺りから眺める姿と比較すると随分間近に迫った雄姿であり趣も異なっていて清々しい景色であった。
途中、県道8号を高千穂町五ヶ所で左に外れ、祖母山登山口に続く林道を同山北谷登山口まで走った。登山口にはそれほど広くはないが駐車場があり、トイレとバルコニー風のベンチ・デッキが付いた施設があった。駐車場はあちこちのナンバーの車でほぼ満杯状態。入り口近くの空きスペースにようやく車を入れては見たが、前述ベンチ・デッキは、私同様登山とは円も縁もなさそうな中高年男女三名に占拠されており、しかたなく車の中で弁当を開いた。
辺りには多数の「ソウシチョウ」の鳴き声(だけ)が聞かれ、歳時記前号に続いて「ソウシチョウ」の報告をすることになった。
最初は、駐車場と祖母山に挟まれた深い谷の底の方で鳴いていたものが、その内の小さな群れが駐車場のあるところまで上がってきて囀りだしたので、握り飯を口の中でモグモグさせながら双眼鏡を取り出して駐車場に続く林道で観察させてもらった。
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ところで、この「ソウシチョウ」は、日本野鳥の会では「野鳥」扱いされていない。同会出版の薄っぺらだが豊富な内容でかつ持ち運びに便利な「野鳥観察ハンディー図鑑『新・水辺の鳥』、『新・山野の鳥』」に「ソウシチョウ」の記述はなく、この2冊のハンディー図鑑を合本して更に内容を充実させた「フィールドガイド日本の野鳥」にも記述はない。同じく同会発行の高野伸二著「野鳥識別ハンドブック」や山と渓谷社発行の「山渓カラー名鑑 日本の野鳥」にも記述がない。
また、個人紙「乱杭No.161」(同号で日本野鳥の会を(社)と記述したのは、(財)の誤りでした。訂正します。)でご紹介したオンライン野鳥図鑑「YACHOO!」にもない。
ようやく、三省堂発行の「コンサイス鳥名事典」(1988年)に名前を見ることができる。曰く、ソウシチョウ 相思鳥 スズメ目ヒタキ科チメドリ亜科 全長15cm・・・
(中略)、
ヒマラヤ・ビルマ・ベトナム北部や中国南部・中部に分布するが、飼鳥として中国や日本で広く飼育されている。近年、福岡県などで野外に多数生息するのが観察されている。森林の下層部や茶畑に生息。英語でPekin Robinともいう。
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◆篭抜け◆
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この記述を元に想像ずるに、同会の出版物「野鳥と出会うために」123ページ「探鳥会用語辞典」中に記述があるように「『かごぬけ(籠抜け)』 カゴから抜け出した飼い鳥のこと。野鳥の生活の場に侵入することになるので、自然への影響は大きい。また、その飼い鳥にとっても悲劇。」との日本野鳥の会の「哲学」「見識」「見解」からくる判断からであろう。
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私は、この見解に賛成である。「アブラムシ、羽を取ったら柿の種(柿の種の唄)」のフォーク・デュオ「あのねのね」は大好きなグループだったが、滋賀県のブラックバス・リリース禁止条例に反対しているこのデュオの一人だった鈴木国明の釣らんがための屁理屈にはガッカリだ!
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◆花魁◆
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さりとて、15年前には福岡県などでしか見られなかった(?)「ソウシチョウ」の生息域の拡大は、無視できないのではないか。
真夏のこの時期、「ソウシチョウ」は、宮崎県の里山を過ぎてある標高を超えた山地の森でひどく頻繁に聞かれる野鳥の声の主流派になっている。
その生息域の拡大の様は、かつて、豊臣秀吉が朝鮮から連れ帰って九州の西北部に住み着いたと伝えられ、佐賀県辺りの送電線の鉄塔に巣を掛けては九州電力を悩ませている「カササギ」の比ではないように思える。
なぜなら、彼の「カササギ」は、その生息史の古さ故に、堂々と先述した数多(あまた)の野鳥図鑑にその名が登載されているが、ここらでは見たこともなく、九州でも限られた範囲にしか生息していない。一方、「ソウシチョウ」は、15年前には福岡どころか、確実に宮崎県にもいた(本県野鳥保護活動の先駆者、故竹田周久氏と行縢山山麓で見た。)し、ますますもってその生息域を広げているように思える。
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何を持って「野鳥」とするか?これは、日本野鳥の会の最も基本的な基準であって、その基準は厳格にならざるを得ないだろう。なぜなら、早々と「野鳥」と認めてしまえば、移入鳥類の自然繁殖と他の在来種への影響を阻止できないどころか、後ろ向きにではあれその事実やもたらす在来種への災禍をなし崩し的に容認したことになるであろうから、まことに厄介な問題である。
「ンでもって、アンタの見解はどうなの?」と問われれば、祖母山北谷登山口で見た「ソウシチョウ」の派手な姿は、「吉原辺りを『足抜け』してきた花魁(おいらん)」のように、全体としては地味目な姿が多い在来種とは、趣を異にするとも思えたが、さりとて彼らは、今やここいらの景色に溶け込んでおり、ただの野鳥としてその姿、鳴き声を楽しませていただきました。お気軽な見解で恐縮ですが、「あるがままを見る、楽しむ。」、これがささやかな私の「なんとん知れん」基準です。
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◆変な注連縄(しめなわ)◆
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前述熊本県内の県道41号を走行中、変わった鳥居、と言うより正確には変わった注連縄を見た。 場所は、高森町河原の「黒岩神社」参道。
普通、鳥居に結ばれた注連縄は、材料の麦わら等のそのものの地色であろう。
ところがここで見た注連縄は、写真のように一の鳥居がブルー、写真が小さくて分かりづらいかもしれないが、奥の二の鳥居はイエローであった。 本殿前の三の鳥居の注連縄は何色か、時間の都合で確認できなかったが、その後車を走らせつつ「交通信号の残りの色、レッドかな? いや、ピンクだったかも知れない。」と思うと、そこで確認しなかったことが悔やまれた。
アホなことで悔やむな!
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※前号(24)Word版の発行日が
間違っていました。
8.17に訂正します。
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