私の控えめな昨日の予想に反し、女子マラソンの野口みずきさんが優勝、男子ハンマー投げの室伏広治君が銀メダルに輝いた。慶賀!慶賀!
日本女子マラソン
野口さんの優勝は、オリンピック女子マラソンで日本の2連勝という快挙のおまけまで付いた。ローマより以前の大会について詳しくないので、断言は出来ないが、マラソンの1国の連勝は、ローマ(アベベ)、東京(アベベ)、メキシコ(メコネン)のエチオピアの3連勝以外には記憶がない。
昨日「乱杭187」で、他の陸上競技種目の世界レベルとの乖離を嘆いた舌の先の乾かぬうちに、誠に恐縮ですが、「恐るべし日本女子マラソン」と申しあげることをお許し下さい。
そして、この種目の先駆者となった佐々木七恵さん、増田明美さんらのご苦労に、改めて敬意を表したい。
違った視点で
野口さんの優勝の様子は、TVや色んな報道で皆さん、つぶさにご覧になるでしょうから、私は、少し違った視点からこのレースを振り返ってみたい。
ディーナ・キャスター
ディーナ・キャスター(31)って誰だ?
今回の女子マラソンで第3位、銅メダルに輝いたアメリカの選手だ。(写真参照:Yahoo.USAから転載しました。)
今日の実況放送で、彼女の存在に気づいたのは、ゴールの映像の時が初めてだった。彼女は、何時、何処から出てきたんだ、と不思議でならない。
彼女がゴールする時に被っていた、前面に”USA"と刺繍がされた白い帽子を目印にして、色々な局の録画で、彼女を探したが、26kで野口さんが大逃げを打ち出した画面以前の先頭集団に、彼女の姿は何処にもない。
ようやく、野口さんがゴールの競技場に入る様子を写した画面、2位のヌデレバ(ケニヤ)のずっと後方に、それまで3位を走っていたアレム(エチオピア)をかわして上がってきた白い帽子の姿が見られ、また、野口さんが競技場に入った瞬間、背面に3294と書かれたナンバー・カードを付けたキャスターの後姿が一瞬だけ映し出された。
日本で流されるVTRは、野口、土佐、坂本がよく画面に登場する。しかし、土佐、坂本がキャスターに追い抜かれる映像はなく、ナショナル映像ではないだろうかと思われる。
だとすれば、今回のオリンピック予選を兼ねた全米選手権が開催されたアメリカ・サクラメントに在住のMさん、若しかしたら、キャスターが後半猛追をして何十人抜きをする映像がアメリカでは流されるかもしれません。もし、ご覧になったら、どんな様子だったか、教えてください。とにかく驚異的な追い上げだったことに間違いはありません。
そして、キャスターのこの走りを見て、「れば、たら。」はスポーツでは禁句ですが、土佐さんが「とりあえず金メダル」を捨てて後半勝負に徹していれば、沖電気宮崎で指導者の道を歩んでいる谷口裕美君が予言したように、土佐さんには違った結果があり、今回の上位3人の着順も変わっていたかもしれない、と思いました。
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パナシナイコ競技場
暗がりに包まれたローマの凱旋門に設けられたマラソン・ゴールに裸足のアベベがぶっ千切りでゴールする映像を私と同じ世代の人は覚えているのではないか。
以来、東京、メキシコ、ミュンヘン、モスクワ、ロサンゼルス・・・、マラソンのゴールはずっとその大会のメイン会場の陸上競技場内に設けられていたと思う。
ローマの凱旋門(写真参照:みぃさんのホームページ「イタリアへ行ってきました。」から転載しました。)は、ハドリアヌス帝だったか、トラヤヌス帝だったか、アウレリウス帝だったか忘れた。兎に角、時のローマ皇帝が、自身の軍隊の凱旋のために作らせたもので、有名なパリの凱旋門は、ずーっと後に作られたものだ。ローマの組織委員会とイタリア陸連はそこをマラソンのゴールに選んだ。
そして、今回、アテネの組織委員会とギリシャ陸連は、第1回オリンピックのマラソンのゴールとなったパナシナイコ競技場(写真参照:ヤフー・スポーツから転載しました。)をゴールに選んだ。
これは、古い世界史の中で燦然と輝く史跡を数多く有する両国の誇りであろう。同競技場の窮屈なカーブのトラックでこぶしを突き上げる野口さんに「そんなことやってる場合じゃない、早くゴールしてくれ!」と早朝叫びつつ、古いギリシャやローマの歴史を思いやった。
そして、4年後の「北京オリンピック」のマラソンのゴールは何処だろうと考え
た。つい先日、サッカーのアジア選手権が中国国内で開かれるまで、底抜けの親中派と自分のことを誤解していた私は、「天安門広場だけはやめて欲しい。」と思った。
グローバリー
今回、みごとに女子マラソンで優勝に輝いた野口さんが所属する「グローバリー」って、どんな会社かご存知ですか。「ハーフ・マラソン」の野口から脱皮してフルマラソンの第一線に彼女が彗星のごとく登場した頃、インターネットで調べたことがある。
名古屋に本社を置く商品先物取引の企業ということが分かった。
彼女を指導している藤田信之さんと彼女は、どんな事情があったか知らないが、女子長距離の強豪「ワコール」から、しばらくの「失業」期間を置いてグローバリーへ移籍したそうだ。
誠に卑属・即物的なものの見方、考え方で恐縮だけれども、「グ社」は、凄い先見を持った先行取得を行ったのではなかったか?
翻って、「ワ社」の関係者は、「しまった!」と唇を噛んでいらっしゃるのかもしれない。
いずれにしろ、競技者と所属企業との関係は、最近大きく変化してきているように見える。
つまり、その企業の社員として勤め、何らかの優遇措置は受けつつトレーニングを積んで競技に取り組む旧来型の所謂「実業団型」と、ミキハウスの所属選手に代表される「限りなくプロフェッショナルに近い型」に別れてきたようで、最近は後者の方が優勢になってきているように思える。かつまた、バブル経済崩壊後の日本企業の再生策=リストラクチャリング(リストラ)が、これを一気に加速させているようだ。地元の旭化成陸上部が心配・・・
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