発 行:ひょうすぼ社
発行人:佐藤理洋
e-mail:
riyoyoko@hotmail.com
創刊:昭和60年(1985年)6月15日

ご意見・感想等は発行人までお願いします。(^_^)  

青草(佐藤理洋)の身勝手 野鳥歳時記(32)(2004年10月2日)

◆「サシバだより」2004ー2◆

 転勤で延岡へみえた県農業改良普及センターのYさんから「サシバの着岸ポイントを教えてください。」とメールをいただいた。

 そこで、昨夜、「おでん小よう」に集合して、大分県南と宮崎県北の海岸線をカバーしている地図を持ち寄り、サシバは、ここと、ここと、そこと、あそこと、こっちと、そっちとそのまたむこうで着岸した実績があり、すなわち、天候など諸条件によって、彼らはあちこちに着岸していて特定できないことを説明した。
 その上で翌日の作戦会議となり、Yさんは、延岡市街地と浦城町の境の山頂にある有機肥料センターを出発点にして、延岡市須美江町の七つ島展望台、北川町の鏡山山頂に行って見られることになり、私は大分、宮崎県両県の境にある北浦町直海(のうみ)の横島展望台に直接行くことにした。

 途中から延岡市内の高校にお勤めのYさんの娘さんも加わり、午後8時半まで小宴会。

 

横島展望台

 この展望台は、岬の突端にあって、そこまで車で行けるのが最大のメリット。

 

 そして、目の前には(↑)写真のように、大分県の最南端に位置する蒲江町「深島」が望まれる。

 前夜の「Y/青」対談の際、地図で確認したのだが、四国からのサシバの離岸地として有名な高知県西海町の高茂岬から九州側で最も近いのは、あの大ヒット曲で有名な大分県の鶴見崎である。

 しかし、この岬の先端は高茂岬よりやや北に位置しており、南へ向かいたいサシバ達、しかもこの時期北よりの風が吹くことが多いことを勘案し、尚且つ、写真のとおりその前に深島があって、サシバにとっては中継点としても利用できることから、この横島辺りが九州への着岸点の北端と考えられそうだったのでここを選んだ。

 おまけに、四国を出る際に上昇気流に乗って稼いだ滑空高度を使い果たして、下から沸いてくるサシバの観察も期待され、そうであれば直ぐ間近で観察することも出来ると思われた。

Here's a cool technique! 実際、(←)写真(↓)のとおりであった。写真に撮りそこなったけれども、背面を長く観察できたサシバも随分いた。

 

 往路

 横島展望台へは、午前8時に着いた。日向灘沿いの宮崎県側の最後の集落、直海港を過ぎて県道の急な上り坂を上りきった頃、道路わきの茂みに入っていく(幼体ではない)若いニホンザルを1匹見た。この個体の前に親や家族がいたのかもしれない。

 県道を右へ折れて展望台へ向かう離合不能の岬の尾根伝いの道では、ベッカムのように首から背中にかけた体毛をそばだてたこれも(ウリボウではない)若い猪を1匹見て、こりゃあ今日は縁起がいいかも、と思った。

 

 サシバ観察

 展望台へ着いて車から降りた途端、まだ双眼鏡もカメラも何も準備していないその時に、岬の先端から10羽余りのサシバが展望台の上に舞い上がり、しかも数羽が、普通渡りの途中には殆ど聞くことのない、例のピックイーッという声で盛んに鳴き交わした。

 8時から9時過ぎまでに29羽が飛んだ。
それからぴたりと飛ばなくなった。若し一人だったら、痺れを切らして何処かへ移動していたかもしれない。

 10時前だっただろうか、Yさんとお嬢チャンが見えた。「鏡山山頂で見ていたら、80羽飛んだ。みんなこちらから飛んでくるので、ここへ移動してきた。」由。

 それからも、とんと飛ばない。Yさん曰く、「上昇気流が起きるのは午前9時頃だから、それに乗って(四国を)飛びだしたとして、ここへは3時間後、正午頃ですよ。」と予言者のようなことを仰り、そうだろうか・・・、と思いつつ妙に納得してそのまま待機。








































 出荷前の糖度検査をした残りという糖度16度の北方町名産の柿を頂いた。その際教えていただいたのだが、果実の糖度は、専用の検査機があって、果汁を絞りそれに光を当てて屈折率で測定するのだそうだ。

 夏場、スーパーの果物売り場に「糖度17度」などと書いたシールが貼ってあるスイカを見て、どうやって測定するのだろうと思っていた謎が解けた。

 また、Yさん父子はガスコンロを出されて、チキンラーメンやクリームシチュウを調理され、私にも分けてくださったのだが、前夜の「小宴会」の焼酎がまだ二日酔い状態で残っていた私は、殆ど食べることができずに残してしまい申し訳なかった。
 11時55分に私は、「Yさんの予言が正しければ、後5分で飛び出します。」と宣言すると、丑山池観察会主宰がかつて「サシバが、グァラグァラ(沢山の意。)飛ぶ。」と吹聴されて大勢のギャラリーを引きつれ、通称「ホークヒル」と呼ばれる宮崎市近郊のサシバの観察ポイントへ行かれたところ、これがとんと飛ばず、その時に主宰が詠まれた「・・・、土下座して待つサシバかな」の名句を復唱されて、「また、余計ないかんことを言ってしまった。」と後悔したのも束の間・・・

 正午をちょった過ぎた頃、岬への直撃弾のように飛び出して、途切れたと思ったら、お嬢ちゃんが北隣の宇土崎の山頂付近を列を成して飛ぶ一群を見つけ、それから1時過ぎまでのおよそ1時間に600羽を数えた。

 ということは、1分間に10羽という勘定になるが、実はその間、Yさんは双眼鏡を目に当てたまま宇土崎上の群れを数え、お嬢ちゃんと私は、海から展望台への直撃弾の隊列を数え、と言った塩梅であった。もう感動ものでした。

 今回、「土下座」をしなければならないのは、私でした。恐るべし、予言者Yさん。

 宮崎でご用事のあるYさんは、午後1時まで観察の予定をお嬢ちゃんの希望をいれて1時半まで延長され、「瓜田ダムよりは多かろう・・・」との言葉を残して、二人で展望台を後にされた。

 前記丑山池観察会主宰から今日届いたメールには、「今日の瓜田(ダム)は快晴。7:00〜11:40までに293羽渡りました。」とあった。

 私は、午後5時まで粘って、9時間の間に、合計1,336羽を数えた。

 都城市の金御岳で長年定点観測を続けられている中原さんからのメールによれば、昨日10月1日に金御岳では、1,278羽を数え、今シーズンの累計は、2,804羽になったそうだ。

 私達が今日見た横島展望台の1,336羽と今日の金御岳での観察数との差が楽しみです。

 その他に見た野鳥

 横島展望台の上を低く高く、沢山のアマツバメが終日飛んだ。何故「沢山」かというと、行ったり来たり何度も行き来しているようで、固体の識別は困難なため数は分からなかったからだ。
 また、「アマツバメ」と同定した理由は、
 ・尾が燕尾服のように長く
 ・かつ二股に分かれていたため
 であり、尾が短く切れ目のないヒメアマやハリオアマツバメとは明らかに違っていたためである。

 同展望台周辺には、トビも沢山飛んでおり、サシバと誤認しそうだったが、Yさんが「ユターッと(ゆったりと)飛んじょる(飛んでいる。)。」と仰ったように、そこに滞留して餌を探すトビと、南へ向かって急いでいるサシバとの違いは、「飛翔している目的の違い」と言う点で、その雰囲気から自ずと識別できる。

 それで、その「ユターッと」飛んでるはずのトビの中でその雰囲気がなんだか違う2羽がいた。
 双眼鏡で覗くと、1羽はトビに違いないのだが、それがマンツーマンディフェンスのように寄り添うもう片方は、明らかにトビとは姿が違っていた。
 ・まず胴体がトビと比べてスリム。
 ・両翼の長さがトビよりうんと長い。
 ・翼の幅がトビより極端に細い。
 ・尾羽の長さがトビの倍位長く、かつ
  ツバメのそれのように二つに分かれ
  ている。
 ・全体は黒っぽく見えた。
そうやって絞り込むと、オオグンカンドリかコグンカンドリのどちらかということになるのだが、写真を撮ってどちらか識別できればよかったのだけれども、なにしろサシバが「グァラグァラ」飛ぶ中での出来事なので、撮影不能でした。

 その他の出来事

 帰宅途中の国道388号、北浦町から延岡市熊野江に通じる熊野江トンネルの北浦町側間近のカーブを曲がったところで、突然、路上がかすんでいるような無数、多数の小さな飛行物体が路上1メートルから2メートル辺りのところを飛んでいた。回避する間もなく、パラパラパラ・・・・と音を立てて車はそれとぶつかり、フロントガラスには、その飛行物体の体液と思われる粘り気のある(流れ落ちなかった。)透明な液状のものが無数にへばりついた。
 何かの原因で興奮状態となり群れ飛んでいたスズメバチの大群であったと推察する。車の窓をきちんと閉めていてよかった。クワバラ、クワバラ・・・

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