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発 行:ひょうすぼ社 |
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昨年、勤務先からの帰宅途上に「CO−OP」のお店ができた。買い物に寄ったら、レジに、小学生の時にほのかな憧れを抱いたTさんがパート勤めだといって立っていた。30年以上時間が経過した彼女は、昔のイメージとは随分違って、たくましい「おっかさん」になっていた。
昨年末、そこで「水菜」や「かまぼこ」を買うと、彼女は怪訝そうな顔をしたので「俺の作るお雑煮は評判がいいんだよ。」と言うと、「食べに行きたい。」とのたまった。 さて、我が家の、と言うより私のお雑煮である。基本的には母直伝の日向市細島(祖母の出身地)風であるが、自分の好みで適当に変えている。 (1)汁
(2)具 家内の実家、岡山県邑久郡長船町のお雑煮は、誠に薄い上品な味の澄まし汁に瀬戸内海特産のカキなどが入った豪華なものである。誠に申し訳ないが、宮崎の百姓の末裔たる自分にはまったく合わない。 思い出深いのは、長野県北安曇郡白馬村のペンション馬鈴薯の雑煮。鹿児島県串木野市出身と仰るお母さんの雑煮は、同じ「食」文化圏のものと感じられ、懐かしい。また食べたいな。
自分の作品をデジカメで写して今号に載せるつもりでいたら、大晦日に帰ってきた息子、この連休に帰省した次女らが食ってしまい、被写体がなくなってしまった。 来年の課題としよう。
No.106 乱杭(2001年1月15日)
私が買い物にちょくちょく寄るものだから、彼女は「佐藤君は、料理が好きなのか?」と聞く。「そうだよ!」と答えると驚いていた。彼女も、私へのイメージが随分狂ったのだろう。
「家内と2人の家に来る勇気があるか?」と言ったら何も言わなかった。
A.
出汁は、山陰特産のアゴ(トビウオの干物)で取るが、最近はティーバッグに入ったものがたまに売っている。先ほどのCO−OPでも12月初旬に見つけ、しめしめと思っていたら、肝心の年末に品切れになっていて、どうしようかなーと思っていたところに、北浦町で漁業をされていて陸上競技会のアナウンサーを一緒にしている柴崎玉美さんから、年末に1.5キロほどの真鯛が2匹届き、このアラを使わせていただいた。(ゼイタク・・・。)
B.沸騰した湯に鯛のアラ(通常はアゴ)、粉末の昆布出汁、乾し椎茸を入れダシを取る。
C.よくアクを取って乾し椎茸がぐにょぐにょになったら、金網にきれいな布巾をしいて汁を濾す。
D.白だし、薄口醤油、あら塩で味をつける。(いわゆる澄まし汁である。)
A.野菜
軽く煮た里芋(このあたりでは毛芋と呼ぶ。)、少し厚みを持たせて削ぎ切りにした生椎茸、ナメコ、水菜。水菜は洗って、茎の部分を椀の底に、葉の部分を一番上に盛る。B.身(魚と肉)
通常は鰤(ブリ)の切り身を使うが今回は先ほどの真鯛の切り身と、3〜4cmに切った鶏肉のセセリ(首や胴体の骨近くの肉で、筋さえ丁寧にとれば安くてうまい。ササミを使う人の気が知れない。)。日頃は使わない(使えない)紅白の刺身用の蒲鉾。
C.餅
餅は、地方や家庭によって、角だ丸だ、生だ焼餅だ、と様々なしきたりがあるらしい。私は何らこだわらない。基本的にはまる餅だが、それが十分搗(つ)いてあって固い餅なら食べる前に汁に入れて暖めて柔らかくしてから、ゆるい餅なら表面に焼き目がちょっと付くくらいに炙ってから汁に入れて使う。D.その他
私の母は、ほとんどの具を椀に盛り、アツアツの汁をその上に注いで出していた。私は冷めるのを避けるため、里芋、椎茸と身は汁の中で暖めて椀に盛るようにしている。