Top > しずかの桜

しずかの桜について Edit

しずかの桜は「犬桜」という種類です。

イヌザクラ(犬桜)
http://aoki2.si.gunma-u.ac.jp/BotanicalGarden/HTMLs/inuzakura.html

しずかの桜についてはしずかの桜環境を守る会のページも参照ください。

静の桜のいわれ Edit

(以下の内容は、旧美麻村の小中学校のページ

ttp://www.vill.miasa.nagano.jp/school/H12home/elem/elem2/sizuka2.htm

から再構築しました。)

http://www.city.omachi.nagano.jp/miasa/images/sakura1.jpg

美麻村大塩(おおしお)は、静御前(しずかごぜん)がなくなったところとされています。しずかごぜんは、げんじのわかだいしょう くろうはんがん義経(よしつね)があいした女の人ですが、あにのよりともにおわれて奥州(おうしゅう)ににげたよしつねをしたってたびにでて、びょうきになって美麻村の大塩でしんでしまったといわれています。

大塩には、千年いじょうとも思えるような桜のふるい木があります。この桜を人々は「静の桜」とよんでいます。よしつねのあとをおったしずかごぜんが、桜の木をつえにしてたびをし、ここでなくなったあと、そのつえがねづいて、この木になったいう言いつたえがあるからです。しずかごぜんのしについて、たしかなことは今もわかっていません。

信州大学教授 市澤静山 書

静の桜の伝説 Edit

よしつねとのめぐりあいとわかれ Edit

しずかがはじめてよしつねにめぐりあったのは、雨ごいのおどりにえらばれ、雨をふらせることのできた日でした。
しずかは、てんにょのような美しいまいひめでした。
母の磯の禅師(いそのぜんじ)といっしょに、こいするよしつねといっしょにくらすことになりました。ふたりは、なかよくしあわせにくらしていました。
ところが、よしつねがほうおうから言われてたいせつなやくにつくと、よしつねのあにのよりともがおこって、よしつねをころそうとせめてきました。そしてよしつねは、よりともからおわれるようになりました。
しずかは、けわしい山をいくつかこえて、たったひとりでよしつねをおってよしのの山にやってきました。雪がふりつもり、川にはこおりがはっています。しずかの足からは、ちが出ていました。そんなしずかを見てよしつねは、「よくここまできてくれました。この山は山ぶしがしゅぎょうをする山。しずかはこの山からみやこへひきかえして、わたしをまっていてくれ。春になったらきっとあえる日がくるでしょう。」よしつねとしずかは、なきながら ふりしきる雪の中をわかていきました。
   

しずかごぜん、とらえられかまくらへ Edit

「これをよしつねだと思ってくれ。」と言ってわたされた「はつね」という名前のつづみと「かがみ」をだきしめて、しずかはみやこへむかいました。
よしつねは雪の中をしずかとわれれて、山ぶしにへんそうして、ほくりくどうをとおって、奥州(おうしゅう)の平泉(ひらいずみ)へむかいました。とちゅう、いろいろなくるしい目にあいましたが、やっと藤原秀衡(ふじわらひでひら)のやかたにたどりつきました。
しずかはよしつねとわかれ、みやこにかえり、母の磯の禅師(いそのぜんじ)とさびしくくらしていました。このうわさを聞いた北条時政(ほうじょうときまさ)は、「そのままにしてはおけない。つかまえて鎌倉(かまくら)へつれていこう。」と言って、しずか親子をつかまえてしまいました。
やがて、二人はかまくらにおくられ、頼朝(よりとも)からきびしくよしつねのゆくえを聞かれました。
「よしつねのゆくえをおしえなさい。」
しかし、しずかもよしのでわれたきりで、よしつねのことはわかりませんでした。
そのころ、かまくらはさくらのさかりでした。しずかは、花を見るたびに、よしのが思い出されてかなしくなりました。
  

しずかのまい Edit

ふさぎこんでいるしずかに、よりともは「鶴ヶ岡八幡宮(つるがおかはちまんぐう)で、まいをまってみよ。」とめいれいしました。
むかし、みやこでながい間雨がふらず、みんながこまっていたとき、しずかがまいをまいはじめると、どしゃぶりの雨がふりつづき、みんながたすかりました。ほうおうから「日本一のまいの名人」と言われました。
しずかは、よりともの前ではまいたくありませんでしたが、「よしつねさまのためになることなら……」と思ってしょうちしました。その日、はちまんぐうのけいだいは、日本一のしずかのまいを見ようとする人でいっぱいになりました。
しずかは音楽に合わせて、うぐいすのようなうつくしい声で歌いながらおどりました。おどるすがたは、てんにょが空からまいおりたようでした。見ている人たちは、ためいきをつくのもわすれてじっと見いっていました。

しずやしず しずのおだまきくりかえし
むかしをいまに なすよしもがな
よしのやま みねのしらゆきふみわけて
いりにし人の あとぞこいしき 

見ている人びとは、しずかのよしつねを思う心に、思わずなみだをながしました。
 

ゆいのはまのかなしみ Edit

しずかのまいは、よしつねのことを思うまいだったので、よりともはすっかりふきげんになって、
「こんな歌は聞きたくない。」「まいも見たくない。」
と言って、すだれをおろさせてしまいました。
しかし、さすがによりとものつまの政子(まさこ)は、
「しずかがよしつねどのをなつかしく思うのはあたりまえです。それにわたしはこんなみごとなまいは、生まれてはじめてみました。」
そう言って、しずかにほうびをいっぱいあたえました。
ところが、しずかとよしつねとの間に生まれたあかちゃんが、よりともからめいれいをうけたぶしたちによって、ゆいのはまにつれていかれ、ころされてしまったのです。
しずかの心はずたずたにきりさかれてしまいました。
「わが子よ!」なきさけびながら、すなはまをさまようしずかの耳には、なみの音も、何も聞こえませんでした。
それから、つらくてかなしい日がつづきました。
 

おうみじからにしなの里へ Edit

春のうすもやの立ちこめる、琵琶湖(びわこ)のほとりを、女づれの人たちがあるいていました。遠い奥州(おうしゅう)というところにいるよしつねをたずねて、たびをしているしずかと母のいそのぜんじとおともの人でした。
飛騨(ひだ)のとうげみちから、いつのまにか谷ぶかい木曽路(きそじ)へまよいこんでしまいました。
きそでたすけてもらったのうかの人から、としとった牛をかしてもらい、その牛にのって、いく日もいく日もたびをつづけました。
しずかはねつを出してくるしいのにくわえて、たいへんつかれきっていました。 にしなの里にたどりついたのは、なつのおわりでした。
きかざったうつくしい女の人と、おともの人はつかれはてているようでした。
「おうしゅう平泉(ひらいずみ)の里はこの山をこえたところにあるにちがいない。」としんじていました。
日がくれるころ大町の松崎(まつさき)の里へつきました。
「おうしゅうの藤原秀衡(ふじわらひでひら)さまのおやしきを教えてください。」
村人は「えっ、ひでひらさまのおやしき、聞いたこともないね。」「大塩(おおしお)は、この山のむこうですよ。」
しずかはこれを聞いて、大きなためいきをついて、なみだぐみました。
 

大洞山をこえて大塩へ Edit

八月をすぎ、日ぐらしぜみがなくあきのはじめのころでした。やっと盛蓮寺(じょうれんじ)にたどりついて、このお寺に何日かとめてもらっているとき、かなしいしらせがとどきました。
「よしつねは藤原泰衡(ふじわらやすひら)にせめられて持仏堂(じぶつどう)でじさつした。」
しずかのびょうきのからだは、あまりにも大きなかなしみにたえることはできませんでした。わが子がしんでしまい、それにあいするよしつねもしんでしまい、かなしみがいっぺんにふき出てきました。
しかし、村人のしずかをはげます声と、しんでしまったよしつねが「しっかりしなさい。」と言っているような気がして、しずかは、おうしゅうへ出発することにしました。お寺におせわになって一ヶ月、びょうきはおもくなるばかりでした。
お寺の大ざくらのえだをおり、つえにして、母といっしょに出発しました。
ひがし山の鷹狩山(たかがりやま)をこえ、大塩への道をいそぎました。だいどうざんのくだりざかにきたころ、しずかははげしいせきにくるしみました。近くにわいていたつめたいいずみの水をのむと、のどにしみこみ、ふしぎに力が出てきました。
ここで、母とのじゅくをしました。
 

しずか、てんにょのように大空にまう Edit

まえのばんのはげしい風で、さきはじめたばかりの白いはぎの花が地めんにうつくしくちっていました。
朝、目をさますと、すぐに出発しました。まだなかなか見えないおうしゅう(ここでは大塩)をめざしていそぎました。
「もう秋ですね。元気を出して」と母にはげまされて、一ぽ一ぽすすんでいきました。ようやく、とうげをこえて、大塩のおかにたどりつきました。大塩の川のほとりにさくるり色の草花。目のまえに広がるおみなえし。すすきのゆれる大塩のおか……。うつくしいけしきに、思わずしずかは見とれてしまいました。そして、やすらかな気もちになり、いっきにつかれが出て、そこへたおれてしました。
手にもっているつえにすがりついて、立ち上がろうとしましたが、立ち上がれませんでした。母が、しのせかいからしずかをよびもどそうとかなしくさけぶ声も、しずかの耳にはとどきませんでした。そして、しずかのてんにょのようなうつくしいすがたは、大空をたかくまっていってしまいました。